馨は大臣の役を貰っている。最初『4月』の役を貰っていたが、馨自らが大臣をやってみたいということで、樹も承諾したのだ。
衣装も当然それなりのものだ。
雛子は馨の衣装の出来映えと、その衣装がしっくり合う馨を褒めた。
「うん。似合うわ」
「陛下にお褒めにあずかりまして、光栄でございます」
かしこまった口調で、馨は礼をした。それから、「森は生きている」の大臣の科白をふしをつけていたずらっぽく歌い出した。
「女王陛下のご命令は、とんでもない、とんでもない」
雛子はそれに笑うと、勝手に言葉を替えて歌った。
「綾川四季が欲しいって、とんでもない、とんでもない」
「陛下、それをご自分で仰いますか?」
「そうよ!もうあれこれ替え歌の気分でもないとやってられないわ!ついでにマツユキソウが綾川由貴って、とんでもない、とんでもない」
雛子の言い様に馨は笑い出してしまった。
「マツユキソウが由貴って…」
「だって私、あんな男、待ってないわ!なのにあんなのがうちのクラスに来て、まさにマツユキソウだとか、最悪だと思わない?」
「あー…高遠さん的にはね」
「舘野くんは綾川由貴ってどう思う?」
「んー…。やっぱり生徒会長、かな。尊敬はしてる。自分、勉強なんか頑張ってもあの成績は取れないし。まあ成績だけがすべてでもないんだけど、由貴は人柄もきちんとしてるでしょ。そういうの見てたらね」
「ふうん…」
「高遠さんはやっぱり四季なんだよね」
「そうね。綾川由貴ってね、何か燗に障るのよ、私。四季くんと由貴が並んでいるの見ても、やっぱり四季くんなの。優劣の問題じゃないの。何ていったらいいのか、四季くんて、最高のものを持っていても、それをアピールしないの。周りから見たら最高なんだけど、たぶん本人からしたらそういう観念で見ていない感じで、何でそれをあえてアピールするの?って不思議に思うみたいな。だからいいの。綾川由貴は最高を優れたものとしてわかっていて、研鑽する器なんだけど、四季くんはみんなが最高だと思っている方を向いているんじゃないけど、研鑽しているものが何故か最高なの。何もかも計算した上でそうしているわけじゃないから、四季くんを見ているとほっとしたり、この人の持っているものいいなって思ったりするの」


