パズルの前に立って、しゃんとして、眺めてみる。
綺麗に組み上がったパズルを見ると、新しい気持ちになれる。
ひとつのものを完成させると、その時の気持ちにもfineの記号がついた気分になるのだ。
しばらくパズルの前で思いに耽り、文化祭にクラスでやる衣装のことを思い出した。
涼を専属モデルにブランドを持っている糸井硝子に由貴や自分のドレスの仮縫いまでを頼んでいたので、由貴がまとめてそれを持っているはずなのである。
学校に持って行っているのでもなければあるはずだが。
由貴の部屋には見当たらなかったので、四季は部屋を移動した。
昔、由真が私室として使っていた部屋に確かミシンがあったので、その部屋に足を踏み入れてみると──あった。
ただし、由貴の衣装はなく、四季の衣装だけが。
とりあえず自分のものを仕上げてから、ということで、今日は自分のものだけを持って行ったのだろう。
トルソーに着せられていた衣装を手に取り、四季は縫製を見る。
丁寧で由貴の几帳面な性格が窺える。
(裾の装飾をしようかな…)
装飾部分は別に作り、縫い付けることになっているのだ。
四季は絵を本格的に学んだことはないが、絵は好きで、基本は押さえている。
写真のヘプバーンのドレスを見て、花のモチーフの部分の型紙を作ることも困難なことではない気がした。
由真のものだろうか、刺繍やキルトの本がミシンのそばに置かれていた。
手にとってみる。
縫う時に参考になりそうなステッチがいくつもある。
(いいな、これ)
四季は思わず見入ってしまう。
美歌のバレエの発表会用に作る衣装なんかは、縫製の丁寧さよりも、それを着て踊って時にあちこちほつれたり、飾りが落ちたりしないようにしっかり縫い付けられているか、というところが問われるのだが。
この衣装は舞台用ではないし、派手に動いたりするようなデザインでもないから、なるべく丁寧に仕上げた方がいいだろう。
四季はドレスの裾の長さを測り、ヘプバーンの写真と比較しながら、どのあたりまでが装飾が入るのかを見ていく。
端切れの布を使い、装飾が入る部分にピンで仮止めをしてみた。


