由貴がとり雑炊を作って四季の部屋に戻って来ると、携帯が鳴り出した。
うとうとしはじめていた四季は、それで目を覚ましてしまう。
「四季の携帯?…いいよ、横になってて。何処にあるの?」
「鞄の中」
「え?今日、学校出たの?」
「うん。最後の授業だけ早引きしてきた」
それなら、ほとんど休めていないわけだ。
由貴は四季の鞄から携帯を探して渡した。
四季は携帯を開き、ぼーっとする。
「誰?」
「真白」
真白というのは四季の彼女のことだ。
「何て?」
「『先輩、大丈夫ですか?』って」
「大丈夫じゃないと思うけど」
「そんなふうに返したら、真白、余計心配するよ」
四季はしばらく返信メールの言葉を考えて、送った。
こういうところが四季の感心するところだ。
「四季、女の子好き?」
「え?…うん。好きだよ」
「疲れない?」
「んー…疲れることはあるけど。でも嫌いではない」
四季は携帯を閉じると、由貴を見た。
「どうしたの。女の子が気になるなら、由貴もつき合ってみればいいのに」
「俺、そういうふうにつき合えないよ」
「好きな子じゃないとダメなんだ?」
「…たぶん。四季は好きな子じゃなくてもつき合えるの?」
「まだ真白しかつき合ったことないからわからないけど。…気になった子ならつき合えると思う」
「千歳は?」
「千歳は…恋愛対象では考えたことない。身内は、結婚するなら出来れば千歳とかを選んでくれた方がいいって考えているはずだけど。でもうちの親は『お前に好きな奴がいるなら、それでいい』って言っているし」
「真白、好きなの?」
「…うん。可愛いよ。何?由貴」
四季は可笑しそうに笑った。
「心配しなくても由貴のことは好きだよ。由貴と真白を比較するなんて僕の中ではあり得ない話なんだけど」
「──別にそんなこと言ってるんじゃないんだけど」
温かいうちに食べて、と由貴は四季を食事に促した。


