「じゃあ四季くんもヘップバーンメイクで、ジバンシィの白いドレス着てー」
「ええ?ドレス?」
「作るよー。こういうの楽しいし」
「ははは。校内『オードリー・ヘップバーン』メイクの男子がふたりも歩いてたら、いい客寄せになるわな」
智も面白がっている。
「もし、衣装を作るんなら、涼に力を借りるって手もあるぜ。硝子さんがいるから。あっちはプロのデザイナーだし、服を作れるスタッフもいるし。演劇部の衣装作るんでも、硝子さんに相談にのってもらったこと、何度かあるから」
「そうか…衣装…」
四季自身はこういった舞台用の衣装を作るのに関わったことは何度かある。
美歌のバレエの発表会用の衣装だ。
運動神経のいい美歌はバレエの才能はあるのだが、衣装を作るのは苦手なのである。
それで手先の器用な四季やら祈やらがかり出されて、衣装を縫う羽目になるわけだ。
早瀬も美歌とそのあたりは似ているため「あたしが手伝うととんでもないことになるから」とノータッチである。
四季はそういった作業をするのは意外と好きである。
ふと、別の想念がよぎった。
「高遠さん、こういうの好きかな…」
「え?」
「…ああ、何でもない。こっちの話」
音楽科でもこういった舞台用の衣装を用意するんだろうか。
練習するだけではなくて、衣装を作りながらおしゃべりしたりすると、違った意味でも楽しくなってくるかもしれない。
そう思った。
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