駿は四季を見て少し羨ましそうにした。
「夢中になれるものがあるっていうのはいいですな。人生楽しかろう」
「本田くんはないの。夢中になれること」
「女の子には興味はありますがねー。そういう興味ってごく普通のことっしょ?四季くんなんか見てると俺はこれでいいのか?いや、いいのだ、と納得してる部分もあるんだが、四季くんの目に映っている世界が如何様なものかと思ったりもするんですな。レンアイも突き詰めれば哲学なとこもあるんですが、大抵はありふれた泥々に混ざってしまうんですよ。本能とか妥協とか自堕落とか社会の柵とかそういったものにね。誰も混ぜなきゃ澱んだものにもならないんですが、まあそんなキレイごとは無理ですわな。…って俺は何を話しておるのだろうか。まる」
「──よくわからないけど、もしかしたら明日には死ぬかも、って思った時に『ピアノが弾きたいな』って感情が残っていたのは、たぶんそれが『僕が生きていること』だったんだと思う」
「──。何やら、俺は、同じ人間に生まれているのに、四季くんのような感覚の人間がいることがとても不思議だ」
「そう?」
「そうじゃないか?だって俺がグラビア見てうはうはしているかもしれない時に、四季くんはピアノを弾いてたりするとか、もうね、世界違ってないか?いや、同じなんだが。他人の心の存在って何だ?と思ったりするわい。ちなみに四季くんはグラビアは好きか?」
「わからない。あまり萌えない」
「何故だ。そこが俺には理解出来ん!」
「だって『見てください』って露骨なのって、興味削がれない?人の目気にしていないけど、何処か目を引く感じだと『あれ?』って気になる」
恭介が興味深そうに言った。
「四季の好みはそういう傾向か。何となく四季って人間がわかった」


