時は今




 四季は忍を雑貨店に連れて行ってくれた。

 どちらかというと女の子向けの店内で、可愛いデザインのスタンドや小物入れ、アクセサリーが並べられている。

「四季、どうしてこういうところ知ってるの?」

 忍が訊くと四季の答えは明瞭だった。

「美歌とバレエ関係のもの買いに来ることがあるから。ひとつ隣りのお店がそう」

「へえ…」

 その繋がりでこういう雰囲気の店なのだ。

「忍、こういうお店、苦手?」

「ううん。好きよ」

「良かった」

 見ているだけでも楽しい。

 忍はのんびり見て回り、ふと、店内の奥にある小物たちに目を止めた。

「…あ、四季、見て見て」

「何?」

「楽器。可愛い」

 本物の大きさではなく、ミニチュアである。

 ヴァイオリン、ピアノ、サックス──数種類の楽器が仲良く並んでいた。

 忍はヴァイオリンを手に取ってみる。

「結構重みがあるのね。ペーパーウェイト代わりになるかも」

「──ピアノ、ふたが開くようになってる」

 四季はピアノを手に取って見ている。

「あ、本当だ。ピアノだけ。ズルい」

「ふふ」

 四季はピアノを置くと、「ヴァイオリンにする?」と聞いた。

「…どうしようかな」

 忍は考えて、選んだ。

「──ピアノにする」

「え?ピアノ?」

「楽器といえばピアノでしょう」

 四季は忍からそういう言葉が返ってくるとは思わなかったため、不意打ちをくらったように戸惑った表情になった。

 忍の中ではピアノを選んだ理由はひとつしかなかった。

 ──佇まいが四季みたいだったからだ。

「どうしたの?ピアノ、だめ?」

「あ…ううん。そんなことないけど。忍、ヴァイオリンがいいかと思ってたから」