約束通り忍は放課後、四季と待ち合わせて、制服のまま一緒に出かけた。
「え?誕生日プレゼント?」
わざわざ「放課後空けてて」と言っていた理由を聞いて、忍は何となく納得した。
「うん。考えていたんだけど忍の喜ぶものって、思いつかなかったし。試験期間もあったし。一緒に選びに行こう?」
「え…と」
忍はまともに誕生日プレゼントというものを貰ったことがない。先日のバースデーケーキが初めての誕生日プレゼントらしいプレゼントだった。
「誕生日プレゼントって、私何貰っていいのかわからないの」
正直にそう言うと四季は困惑した。
「…そうか。どうしよう」
「私、四季がいるだけでいいよ?」
「──。そんなこと言われると嬉しいんだけど。でも誕生日だからね」
贈ることが出来ないと気持ちが納得しないのだろう、四季は忍の手を掴んだ。
「とりあえず行こう。忍、アクセサリー好き?」
「え?うん…。え…えーと四季?」
「何?問題ある?」
「う、ううん…」
気持ちは嬉しいのだが、普通に香水をくれるような感覚の人だ。高校生に不釣り合いなとんでもない値段のものを贈られたらどうしよう。
「その…。四季って、香水とか普通にくれたりするから…。高校生らしいものでいいから、ね?」
「──。そういうの普通にあげるのは、忍だからなんだけど」
「そう…なんだ?」
「そうだね…。金銭感覚の話をした方がいいのかな。僕、月に一万円お小遣い貰っているんだけど、服とか楽譜はそれで考えて買えって言われてる。使わなかった分は貯金をしておく。それって忍には想像つかない感覚だったりする?」
ピアノの楽譜は物によっても値段はまちまちで、千円くらいで買えるものもあれば、五千円くらいするものもある。大体三千円くらいが普通だろうか?
それで服のことを考えると言うと…。
「──四季の立場で考えると妥当かも」
忍はそう答えた。四季はほっとした表情になる。
「良かった」
「忍は?お小遣い、貰っているの?」
「うん…。私も同じくらいは貰っているんだけど、お金って使うの怖くて。使わなかった分は貯金してしまってるの」
「堅実だね」
「堅実って言うより…もう少し使い方も覚えなきゃと思ってるんだけど」
忍は苦笑した。


