朝食がすんで後、ピアノの音が聴こえるため、みんな自然にピアノの周りに集まってくる。
ディズニーの曲や邦楽の曲を集めた楽譜があったため、智が四季に「どうせならみんなで歌えるやつ弾け」と言って弾かせ始めた。
由貴と涼もピアノが弾ける上に忍も声楽をやっているため、音楽の表現は半端ないメンバーである。隆史は歌を聴きながら若干気圧され気味になった。
「みんなすごいですねぇ。でもこういうのもいいなぁ」
四季が忍に「ドレミの歌うたって」と、弾き始める。
智の反応もいい。
「『サウンド・オブ・ミュージック』だな。私、あの映画観て『ドレミの歌』いいなって思った」
「うん。僕も好き」
「パート分かれるの?」
由貴が訊く。
「歌いやすいパート、お好きにどうぞ」
四季は明るく返す。
涼のピアノが四季のピアノに合わせてきた。
「涼、第1ピアノ。四季くん、第2ピアノ」
「涼ちゃんはソロ担当ってこと?」
「うん。四季くんオーケストラ担当」
「いいよ」
「…楽譜もねーのに、第1ピアノとか第2ピアノとか適当に言って決めて通じる方々なんだな。何だ、オーケストラ担当とかって」
「ふふ。涼と四季にはそう言っても、ぱっとイメージが出来るのよ。じゃあ、私適当にデスカント入れる」
「デスカント?忍さん、何ですかそれは」
「ソプラノのメロディラインよりさらに高いところで歌う歌い方、聴いたことない?」
「わかんねぇ。まず歌ってみて」
「親父、声バリトンくらい?」
「…わかりません」
「じゃ、親父は普通に歌って」
「忍、最初の歌のリードお願い」
「わかった」
涼と四季が弾くピアノで、由貴たちのうたう『ドレミの歌』が響き始めた。


