時は今




 朝、隆史が1階に降りて来ると、キッチンの方からスープのいい匂いが漂ってきた。

 四季と忍が朝食を作っていた。

 ふたりに「おはよう」と挨拶をされて、隆史は当てられ気味に「おはよう」と返す。

「早起きさんですねぇ。いいなぁ。幸せそうで」

「先生、珈琲淹れますか?」

「ああ、自分でやりますよ。四季くんの彼女さんの手を煩わすには及びません」

 そのうち、由貴と智と涼も起き出してきて、ダイニングテーブルはにぎやかな様子になった。

「卵焼くぞー。目玉焼きがいい人ー」

「涼、目玉焼き」

「俺も」

「先生も」

「四季と忍は?」

「私と四季は朝食済ませたから」

「…と。卵の数ピッタリでした。忍さんたちお気遣いサンキュー」

 昨日すき焼きを作った時に卵を6つ使ってしまったから、4つしか残っていなかったのである。

「忍たちは何食べたの?」

「ごはんとスープ」

「そんだけで足りるか?」

「うん。大丈夫」

 朝食がどうというより幸せで満たされているようである。それはそれでよい。

「僕、ピアノ弾いていていい?」

「お好きにどうぞー」

 四季と忍はピアノのところに行ってしまい、やがてピアノに合わせて「森は生きている」の歌が聴こえ始めた。