23時を回った頃、由貴が1階に降りて来た。
それで智が時間に気づき、あくびをする。
「ああ…こんな時間になってる。寝よ寝よ。試験勉強おしまい」
「お疲れ。まだ頑張ってたんだ」
「ん。四季の訳、わかりやすい。別の意味で勉強になった。──涼は?」
「眠ってる。さすがに俺が一緒に眠るのはまずいかと思って」
「四季といい、会長といい、よく出来た彼氏が多いですな」
「ん…。というより」
「ん?」
「高校生という年齢にこだわるんじゃないんだけど、好きならすぐ行為に及ぶっていうのは、普通のことなの?──俺、涼のこと本気で好きだから、そういう一般論がどうのっていうより、俺と涼の気持ちを大切にしたいんだけど」
「ああ…一般論ね」
智はのびをしながら答えた。
「そうだな…。一般論気にしすぎて好きな人振り回すのは違うよな。大切なのはどっちだよっていう」
「…うん。涼は俺の気持ちきちんと考えてくれてて、そういうの言っていいよって言ってくれてたけど…。でも俺、まだ早いと思う」
「いいんじゃねぇ?私も行為がどうこうってより、気持ちが大人になってるかってことの方が大事だと思う。…ま、私はそういう経験まだないんで、偉そうに言える立場じゃねーんだけどさ」
洗面所から隆史が姿を見せた。
「ああ…。由貴くん。大丈夫でしたか?」
「うん。涼、先に寝てる。俺ももう寝るけど。──智、涼と眠れると思うよ。ベッド広かったから」
「じゃ、そうする。先生、おやすみなさい」
「はい。おやすみなさい」
勉強道具を片づけて智は2階へ上がって行く。
「さて、僕は由貴くんと同じお部屋ですかね」
「いちばん色気ない組み合わせ…」
「じゃ、由貴くん、涼ちゃんとご一緒しますか?」
「それはだめ」
由貴は苦笑した。
「──たまには親父と一緒でもいいか。こういうの、なかなかないし」


