時は今




 部屋の割り振りは『男子の部屋』『女子の部屋』で分けようということになっていたはずだったのだが、四季がリビングのソファーで先に眠り込んでしまったため、智が「リビングは四季と忍が使うか?」と言った。

「忍か会長がついていた方がいいと思うんだけど。四季の気持ち的には忍だろ。誕生日だし」

「そうだね」

 由貴が肯定した。

「四季、忍を抱っこして眠ると安心するって言ってたし」

「…え」

 隆史が流石に驚いたように反応する。由貴はフォローする。

「抱っこするって言ってもそのままの意味だよ。そういう意味ではなく」

「え…ええと…。はい」

「俺だと抱っこ出来ないし」

「四季と会長が抱き合って眠ってたらこえーけど」

 智の言い様に、由貴が真面目に想像したのか変な顔になり、忍が笑った。

「四季、目が覚めた時に誰かいた方がいいと思うから、私はリビングでいい」

「うん。じゃあお願い」

 由貴が忍に頼む。

「会長は?まだ起きてる?」

 涼が由貴のそばに来る。

「涼さーん。会長の場合、四季と忍みたいに『抱っこして眠る』だけってわけにはいかないかもしれないですよー」

 智が小声でツッコミを入れる。

 涼は由貴の手を掴んだ。

「会長と一緒にいられない方が淋しい」

 智が意表を突かれたように、隆史を見る。

「…先生」

「由貴くん、わかってますよね」

 隆史は表情を変えず、そう聞いた。

「うん…」

 由貴は答えて、涼の顔を見ると軽く肩を抱き、口づけた。

「さっき、ごめん」

「…うん」

 その後一緒に眠るのかは判然としないまま、由貴と涼は2階に上がって行ってしまった。

 智が「ごめんって何だ?」とおろおろする。

 買い出しに出ていた時のことだから、智と隆史にはわからないのだ。

 忍は静かに微笑んだ。

「由貴はそういう気持ちあるみたいなんだけど、涼がまだそういう気持ちわからないならいいよって、さっき…。その言い方で涼が泣きそうになっちゃって」

「あらー…」

「大丈夫よ。そっとしてあげた方がいいと思う」