涼の髪を触っていた忍が「出来たよ」と言った。
両サイドの髪を少しだけ取り、ねじりを入れて後ろでまとめただけなのだが、すっきりと見える。
「おお、忍、器用だな」
「うん。忍ちゃん、こういうの上手なの」
「涼見てると可愛い髪型考えたくなるのよ」
忍は薄手のワイシャツを羽織ると、香水をまとった。
「──忍、お前何気にいいものつけてるな?」
智が目敏くツッコミを入れると、忍は「あ…」という表情になった。
「こら、忍。何だその『あ』は」
「忍ちゃん、香水、買ったの?」
「何?涼も知らないのか?」
「うん。忍ちゃんがいつも使ってる香水じゃない」
「何だと?しーのーぶーさーん。その香水はどっからだ?」
いひひひひ、と楽しげに智が忍に絡んでいる。
忍は白状した。
「…四季から貰ったの」
「なにー!?」
「この間、四季の部屋、行った時に…。四季、幾つか持ってて。綺麗だなと思って見てたら、好きな匂いのがあったらあげるよって…それで」
「ううわ。何ともエロい話」
「そ、そう?エロい?」
「彼氏の好きな匂いだろ?」
「う、うん…。言われてみれば、そうね」
「いいな、忍ちゃん」
「涼は、会長に貰えるんじゃねぇの?」
「そ、そうかな…?」
智は興味津々で、香水のボトルの匂いを嗅いでみる。
「あれ…?うん。確かに。これなら女の子でも似合う」
バラとライラックにアプリコットがプラスされた、優しい香りがした。
「四季、ピアノ弾いているから、女の子たちの中にいても違和感ないようにって。これは女性向けの香水みたい。女の子たちが多い状況で男ものの香水つけているとキツいことがあるからって」
「ああ、確かに四季の場合そういうの気を遣っていそう」


