「涼の家は?同じ家が大きいんでも、涼の家は四季の家とは事情が違うだろ。よくわからねーけど」
智はそう言って、涼を見た。
「うん…。四季くんの家は料亭と旅館経営してるから、桜沢の家とは守り方が少し違うと思う。うちは硝子ちゃんがファッションデザイナーだったり、建築関係、音響関係の人がいたり…。繋がりはあるけど、仕事は個人で持っている人が多いの」
「そうね。涼の家と四季の家とは人間関係の雰囲気が違う」
涼の言葉に忍が頷いた。
「涼の家は人間関係はさらりとしてるの。お父様は翻訳家なさっているし。四季の家は個人が仕事を持ってしまったら出来ないような面があるから、人との繋がりが大きく関わっているような気がする」
「…まあ、代々店を受け継いでいる家ってなるとなぁ」
智は自分とはまったく生きる世界の違う人達のことを想像しているような気分になって、ソファーのクッションに身を埋めた。
「ああ、わからん、わからん。私は『普通』がいちばんだわ。吉野智様、あなたは明日から社長令嬢です、とか言われても、私は熨斗つけてお断りだわ。身の丈にあってねー生活なんて窮屈だっつぅの」
「ふふ。智らしい」
「忍、お前、頑張れよ?お前の育った状況と四季の家とじゃ180度違うだろ。まあ、忍は私みたいにがさつじゃねぇから、四季の家の空気に合うかもわからんけど」
「でも、四季のお母様、智みたいに話しやすい人よ?」
「え?そうなの?」
「うん。私のこと『忍』って呼んでくれるもの」
「へー。ちょっと見てみたい」


