四季は時計を見て、隆史と智の帰りが遅いな、と思い始める。
静和の代筆をした手紙の内容を思い出して、心配がよぎる。
大丈夫だとは思うのだけれど。
「ね、由貴。隆史おじさんたち、何処まで行ったんだろう」
「え?」
由貴も時計を見て、そうだね、と呟いた。
「ケーキと夕飯の食材だけを買うなら、行って戻って来れる時間だけど…。食材を選ぶのに迷ってるとか?」
「携帯にかけてみたら?」
「そうだね」
由貴が携帯を手に取る。その瞬間、着信が入った。
吉野智だ。
「四季、すごい。智から着信」
「ふふ」
──由貴は携帯に出た。
「──はい。智?」
携帯に出た由貴に、答えたのは隆史だった。
『ああ、ええと、由貴くん?』
「…何で親父が智の携帯で話してるの」
『ダメなんですか?』
「ダメってわけじゃないけど。智は?」
『吉野さんは…まだ食材選んでくれてて。僕は何選んだらいいのかわからないし』
「ふーん…」
少し様子が変だ、と思うのは気のせいだろうか?
「何かあったの?」
『いえ…特に。あまり遅くなると由貴くんたち心配するかなと思ったもので』
「それならいいけど」
『由貴くんたちは大丈夫ですか?』
「大丈夫だよ」
『ふふ。それなら良かった。もう少し待っていてくださいね』
隆史の話はそれだけだった。
通話を切って、由貴は首を傾げる。
「…変なの」
「何かあったの?」
「ううん。電話に出たの、親父だった。まだ食材選んでるんだって。それだけ」
「ふーん…」
四季はとりあえず隆史からの電話があったことにほっとする。
変なことに巻き込まれているのでなければ、いいのだ。


