時は今




 手紙の最後には、追伸で涼へのメッセージがあった。

『同封されている鍵は、涼へ。この鍵に危険はないので安心してください』

 忍は、封筒の中を確認した。確かに鍵がひとつ入っている。

「涼。静和が涼にって」

「え?」

 忍から鍵を受け取り、涼は不思議そうに瞬きした。

「お兄ちゃんから?何の鍵?」

「わからないけど。静和のことだから、あちこちに涼の喜びそうなもの隠しているんじゃない?」

「ふふ、探してみる」

 涼は嬉しそうに鍵を見つめた。

「忍ちゃん、手紙、何て書いてた?」

「うん…。涼を巻き込みたくないから詳しくは話せないけど…私のこと心配してくれてた」

「そう」

 忍の中ではまだ収拾のつかない気持ちが回っていた。

 自分の母親がこの件に関わっているとしたら──。

 静和は、そのことについてはっきりとは書いてはいなかったけれど。



『あんた死んで』



 電話の声。

 聞き覚えはあった。

 でも、そんなはずはないと否定していた。

(お母さんの声──)

 胸に刺さって痛かった。



 四季がこの手紙を代筆したのだとしたら、四季は私の背負っているものを負う覚悟で書いていたのだろうか。

 涙が出てくる。

 この涙は、いったいどんな種類の涙なんだろう。