別荘に取り残された、由貴・涼・四季・忍はしばし困ったようにどうしていいのかわからない感情を持て余してしまった。
「──俺、お茶入れ直してくる」
由貴が立ち上がり、涼も由貴について行ってしまう。
忍はテーブルの前に座った。
「試験勉強、どうしよう」
「──忍、まだ不安なところある?」
「他の教科もひととおり、目は通しておきたくて。四季は大丈夫?」
「うん。僕が不安なのは数学だけだから。忍は苦手教科ある?」
「特にないけど…。暗記もの、やっていい?世界史」
「朗読しようか」
「四季、全部朗読してるの」
「音になると覚えやすくない?」
四季と忍はソファーに座ると、ふたりで交互に教科書を読んだ。
由貴と涼がそれを見て、面白そうなことしてる、と笑う。
「由貴と涼ちゃんも入る?」
「うん」
一時間ほどそうして教科書を読んで、あとは自然におしゃべりしはじめた。
「そういえば四季の部屋、忍が泊まったって聞いたけど」
気になっていたのか、由貴がそう話しはじめた。四季が「うん」と頷く。
「うちの親、忍のこと気に入っているみたい。美歌もなついてるし」
忍がおもむろに口を開いた。
「早瀬さんに私の家の事情を話したら、「四季のところに来たければいつでも来な」って。びっくりしたわ。ああ、こういうことを言ってくれる人も世の中にはいるんだ、って」
「僕が時々体調崩すから、それで不安にさせていたりするせいもあるんだと思う。忍、いい子だから、ついていてくれるし」
穏やかに語る四季と忍を見て、由貴がほっとしたように言った。
「そう。良かった」
由貴は由貴なりに心配していたらしい。
「何かあったの?智はあんな言い方してたけど」
「それを聞く?」
「ふふ。ごめん。話したくないならいいけど」
「一緒に眠っただけだよ」
「ふーん…」
「由貴と涼ちゃんは?」
「え…。俺たちはまだ」
ね、と由貴が涼に言う。
涼はきょとんとしている。意味はわかっているのだろうか。


