四季はその話を聞かされて、戸惑う。
「ちょっと…もう何?」
吉野智が隆史の肩をぽんぽんと叩いた。
「先生、ここで過ごすなんて野暮なことしてねーで、このふたりここに置いて、私らは買い出しに行こーぜ」
「ち、ちょっと智」
忍が赤くなったまま、智に声を投げるが、智は「おっと」とつけ加えた。
「会長と涼も残るか?いいぜ、残っても」
由貴と涼もその言葉にびっくりしたように、うまく言葉を返せない。
隆史が感心したように智を褒めた。
「吉野さんは友達思いですねー。じゃ、行きましょうか?」
「ちょっ…親父」
めずらしく由貴が動転したように隆史を呼ぶが、隆史はにっこりした。
「由貴くんは生徒会長ですから、僕がいなくても大丈夫ですよね?」
あおっているのか、何なのか。
「大丈夫。行けば?」
由貴が強気で言い返し、智が「よっしゃ」と隆史の腕を掴んだ。
「綾川隆史ゲットー。先生、デートしようぜ、デート」
「は?」
今度は隆史の方が驚いたように智を見た。
「よ、吉野さん、僕のこと好きなの?」
「は?」
智はそう言われて「うーん?」と腕組みする。
「ちょっと親バカな感じは否めないけど、こんなお出かけ企画に乗ってくれたり、いい父親?っていうか、いい男だと思います」
「…吉野さん、そんなこと言われると、僕嬉しいんだけど」
「へー。先生、吉野智、どうですか?もうね、私、枯れてんのか知らないけど、ときめきがないの。ときめきたいんだよ!先生、ときめき探しに行こう、ときめき!」
「ときめきかぁ。僕もときめきたいなぁ」
何処までが本気なのかわからない吉野智と綾川隆史の会話を、由貴たちは何も出来ず見送ってしまう。
智と隆史はそのままうきうきと出かけて行ってしまった。
しばしして由貴が呟く。
「──親父、大丈夫かな」
そちらの方が不安だった。


