忍は予期すらしていなかったことに、戸惑いを隠せないまま、四季から封書を受け取る。
「今、開けて読んだ方がいい?」
四季は首を振った。
「ひとりの時に読んで。その方がいいと思う」
「──四季」
忍は不安になって四季の名を呼んだ。
自分が今愛しているのは、綾川四季だ。
四季は優しいからこんなふうに静和からの手紙を渡してくれるのかもしれないけれど。
でも、それで四季を不安にさせてしまったり、傷つけたりするのは違う。
四季が「何?」と聞き返す。
忍はどう言えばいいのかわからない。
四季はその忍の表情を読み取ったのか、クスっと笑うと忍の髪を撫でた。
「忍、怖い目にあったんでしょう?静和さんが危なくないようにって、この方法で渡すこと思いついたみたい。僕も忍を危険な目に合わせたくないし」
そう言われて、忍は静和を事故で失った日のことを思い出した。
鳴りやまない電話。
黒服の男達。
雷。
忍を救い出すように聞こえてきた静和の声。
──思い出して、忍は封書に目を落とした。
これは静和の個人的な私宛ての手紙ではないだろう。四季に渡したのなら。
静和と四季の間で、私についての話があったのかもしれない。
「四季…。私」
どう言えばいいのかわからなかったが、四季に伝えておかなければ後悔すると思った。
「私が今愛しているのは四季だから、不安になったりしないで」
四季がその言葉を理解するまでに一瞬間があり、頬を染めた。
忍もはっとして赤くなる。
智がはやし立てた。
「わははは。四季、お前やるな!忍に何した!」
「え…と」
隆史も笑っている。
「四季くん、不安になることないですよ。揺葉さん、本気で四季くんのこと好きだから。ね、揺葉さん」
「え…。は、はい」
四季が怪訝そうな表情になる。
「隆史おじさん、何か知ってるの?」
忍はうつむいたまま答えた。
「あの…。少し前、四季が元気なかったから…。先生なら四季のことよく知っているかと思って…。私から先生に聞いたの」


