ひとしきり遊んで、忍が口を開いた。
「さっき、ごめんね」
四季は忍をふっと見つめる。
「誕生日…いい思い出ないの」
「うん。──たぶん祝われたら嬉しいけど、惨めな気分にもなって泣いてしまうと思う」
「そう」
「心が卑屈になっているのかとも思う。ずっと祝ってもらったことなくて、どうでもよくなった頃にこんなふうに…。どうして?って」
「忍」
四季が忍を手招きした。
忍が歩み寄ると、抱き寄せられた。
「し…四季」
「卑屈でも卑屈じゃなくてもいい」
「……」
「誕生日おめでとう」
それで、また涙腺が壊れそうになる。そんなことを先に言われたら、もう。
「四季、ずるい」
「…うん」
抱きしめていてくれる腕が心地良かった。忍は背に手を回し抱きしめ返した。


