時は今




 智が真面目な顔で聞いた。

「お母さんに聞いたことねぇの」

「聞いたわ。『知らないわ。あんたなんか拾って来たのよ』って言われて」

 涼の父親や静和が、血の繋がりのない忍を何故桜沢の家に置こうとしていたのか、理由が見えた気がした。

 そう思わせるくらいにひどい状況だったのだろうか。

「──ごめん」

 何か思い出したのか、忍の目から涙がこぼれた。

「やっぱり、お祝いはいい。ごめんね」

 少しひとりにして、と言って行ってしまう。

 四季が智を見て、智が四季に「行ってやれ」とでもいうように手をひらひらと振った。

「忍をひとりにさせんな」