昼食をすませてから試験勉強が始まった。
四季はわからないところを全部チェックしてきていて、隆史に聞き始める。
隆史は「四季くんと同じ問題不安な子は?」と聞き、智と忍が「ちょっと不安」と答えた。
隆史の周りには四季、忍、智が集まり、高校入学以来学年トップの成績の由貴と涼は自然とふたりで勉強をする形になる。
隆史に数学を聞けるだけ全部聞いた四季は、応用問題までを解いたあたりで、疲れたのかフローリングの床に倒れた。
「少し休憩」
智と忍も「コーヒー入れようか」と言い始めた。
由貴と涼は未だある意味『ふたりの世界』だ。既に数学は終わって古典に入っている。
まだ勉強モードのふたりを邪魔しないように、智と忍はコーヒーの準備をし始める。
涼はコーヒーが飲めないとわかっているので、智は紅茶のティーバッグを探し始める。
「ふふ。何だかこういうの楽しい」
カップの用意をしながら忍が幸せそうだ。智はふと、忍の家のことが気になった。
「忍」
「何」
「お前ん家って、どうなってるの。母親とか」
誕生日とかどうでもいい人生を送ってきているという、忍の言葉が気になっていた。
「誕生日がどうでもいいとかさ、普通じゃねぇだろ。私は自分の誕生日来たら、やっぱ嬉しいし」
「……」
「まともに祝ってもらったことねぇの」
智の言葉は的を射ていた。忍は「うん」と肯定する。
「私にはそれが普通だったの」
忍がふと目をあげる。四季が立っていた。
「僕、紅茶」
智が「ああ、うん」と返事をする。
「静和さんは?」
四季が穏やかに忍に聞いた。
「え?」
「誕生日。静和さんは祝ってくれたの?」
「──うん」
忍は頷いた。
「誕生日に祝ってもらったわけではなくて…静和の誕生日に一緒に。私、それまで自分の誕生日、知らなかったの。静和がそれを聞いて『誕生日も知らないなんて変だ』って言って、一緒に戸籍確認しに行って」
智と四季は言葉をなくしてしまう。何て言ったらいいのか。
忍は淡々としている。ちょっと笑った。
「何だか、そういう顔されると困る。私、智と四季にそういう顔させたくて、こんなこと言ったんじゃないのに」


