コンビニを歩いていると雑誌の棚に占いの本が並んでいるのが忍の目にとまった。
(そういえば四季、誕生日いつだろう)
そんな話は、まだしたことがない。
忍は占いにほとんど関心がない。自分の血液型がわかったのは学校の貧血検査で、静和とつき合うまでは自分の誕生日すら知らなかったくらいだ。
(私って何なんだろう…)
こんなに自分のことに淡白でいいんだろうか。あまり支障はない気もするが。
「何?忍、占い?」
雑誌も買うなら入れろと智がカゴを差し出す。忍は首を振った。
「ううん。四季、誕生日いつなのかなって思って」
智が満面の笑みになった。
「四季ー。忍さんが四季の誕生日いつなのかなって気になっているみたいだけどー」
「と、智」
コンビニなんかで個人的なことで声をあげられると恥ずかしい。忍は智の腕を掴み、智は「平気平気」とさばけた調子で言った。
四季がそばに来る。
「何?誕生日?」
「占いの本並んでいるの見て、四季いつかなって思っただけ」
「ああ…12月16日。ベートーヴェンと一緒」
なんと。
忍と智は四季の顔を凝視してしまう。
「あらー。楽聖ベートーヴェンと一緒ですか。何とゆーか…音楽家と被るあたりが四季らしいとゆーか」
「そう。四季の誕生日はベートーヴェンと一緒なのね」
ひとつ四季のことを知った気がして忍は嬉しくなる。
「忍はいつなの?」
「え?」
「誕生日」
「え…と…。10月…15日」
すぐには出てこないのが何とも情けない。今度は智と四季が忍を見つめた。
「15日って明後日じゃん」
「忍、そういうの言わないと、僕、わからないよ」
「うん。…忘れてた」
「忘れてたって、忍、お前ね」
「ごめん。私、自分の誕生日とかどうでもいい人生送ってきてるから」
「先生呼ぼう。せんせーい。ちょっといいですかー」
智に呼ばれて隆史が来た。由貴と涼も自然にくっついてくる。
「忍さん明後日誕生日なんだって。明後日中間試験初日でそれどころじゃないと思うし、今日ケーキ買ってみんなでお祝いするってどうですかー」
「おや」
隆史がいいことを聞いたように笑った。
「それは嬉しいですね。じゃあケーキも買って行きましょう」


