演劇部の部活が終わり、智が着替えるまで四季は待っていてくれた。話があるのだという。
「めずらしいね。忍は?」
「今日は友達と帰るんだって」
「ふーん」
「何、その何か言いたそうな顔」
「忍と一緒に帰れなくて淋しいんじゃないかと」
智がさくっと突っ込んでみると、四季は「淋しいよ」と若干拗ねているように答えた。智は笑ってしまった。
「そっか。淋しいんだ。素直だね、四季」
「笑う?」
「だって女の子に囲まれてるからさ。でも忍でなきゃダメなんだ?」
「うん」
純情な恋心をあまりからかうのも気がひけた。その辺りでやめておく。
「で?話って?」
「吉野さん、今度の土曜日暇?」
「んー予定らしい予定はないけど」
「良かった。試験勉強しに行かない?由貴と涼ちゃんと忍と僕と吉野さんで。──引率は隆史伯父さん」
「わお。何その企画?行くって何処行くの?」
「発案者は忍なんだけど、さっき由貴と涼ちゃんと話している時に決めた。行くのは糸井硝子さんの別荘。車はうちの家のものを出して、隆史伯父さんが運転する。伯父さんの了承も貰ってる」
「すげぇ。楽しそう。行く行くー。泊まるの?」
「そこまではまだ決めてないけど、泊まってもいいね」
「でも泊まったら、遊び気分全開になっちゃいそうだなー」
「ね。試験勉強なのに。でも僕数学苦手だから、隆史伯父さんに試験前に数学見てもらえると助かるんだよね」
「あー…そか。四季数学苦手だっけか。確かに数学ってひとりで解いていて解んなくなって、聞ける人がいないと困る時ってあるんだよねぇ」
「それ、わかる」
「やったー。じゃあ私、5教科全部持って行くからな!」
「ええ?」
「メンバーに勉強出来る奴ごろごろいんのに活用しないでどうするよ。英語は四季に聞くからな。よろしくー」
智の言い様に、四季は笑って「予習しておく」と言った。


