「そういえば四季くん、今日A組の女の子たちと仲良くしてたよー」
「うん」
忍の反応は穏やかだ。ほのかが「ゆりりん」と言った。
「四季くん、放っておくと女の子寄ってくるばっかりだから、不安な時は四季くんに言ってみたらいいよ。ゆりりん、怒らないタイプでしょ?」
「怒らないかはわからないけど…。四季を好きでいてくれる女の子に極端に強く出るのは少し違うと思うわ。それで四季の交友関係を緊張させてしまったらいけないし」
「うーん…。ゆりりんの言っていることももっともなんだけどねー」
「大丈夫。不安になったら四季にそう言うわ」
「じゃあ、ゆりりんは何処からが浮気だと思う?」
忍は少し考えた。
「キス…かな」
「ああ、キスは浮気だねー」
「でも四季、そういうの真面目そう」
女の子をまだ抱いたことがないと言っていた。だからだろうか、忍も安心して四季に身を任せていられた。
「杏とほのかは好きな人、いないの?」
他の子はどんな恋をしているのかが気になって、忍は聞いた。杏が「えー?」と考え込む。
「私はいないよー」
「私は…ちょっと」
えへへ、とほのかが笑った。杏が予想していなかったようにほのかに聞く。
「え?ほのか、好きな人いるの?」
「…うん」
「うそうそー。誰よ?」
「家庭教師の先生」
杏の表情が固まった。
「家庭教師ってほぼ『おうちデート』みたいなものでしょー?何その幸せ設定」
「えへへ。…キスしちゃった」
「ほのか、私、ほのかが家庭教師が好きなんて聞いたこと一度もないんだけど」
「今しか話さないもん。えへへ、私キスされたの初めてー」
「されたの?」
「うん。それで先生私のこと好きだったんだって思ったら、何か」
「うわーほのかの方が好かれてるの?何?先生かっこいいの?」
「よくわかんない。この間まで意識してなかったから。四季くんがいたからかなぁ。でも先生、雰囲気いい人だよ」
「もー。先生の写真撮って来い!見てやるー」
「えー?」
何だか幸せそうだ。
今日一緒に帰ろう、と忍はほのかに言った。こういう話をするのもいい。ほのかは「うん」と頷いた。


