四季も同じような疑問は芽衣と亜絵加のような女の子に対して持っていた。
「聞きたいんだけど」
「ん?何?」
「荻堂さんや桧山さんのいう『かっこいい』って何?」
「んー…」
ふたりは答えあぐねる。
「難しい」
荻堂芽衣がしばしして、「四季くんの『かっこいい』について言うなら、四季くん自身は自分のことかっこいいって思ってなくて、我が道を行ってるところ?」と答えた。
四季は意外な言葉を聞かされて芽衣を見る。芽衣は「何ー?」と照れたように笑った。
「だって、かっこつけてる人ってわかるよ。四季くん、そんなことないもん。かっこいい人とかっこつけてる人は別物」
芽衣の言葉に亜絵加が「あーそうかも」と言った。
「四季くん、隙があるから。見ていて気になってつい声かけたくなっちゃうの。かっこいいのにかっこつけてない人、興味あるし。俺の美学とか持ってる人、面倒だもーん。関係ないしー」
「あはは。いるいるー。『かっこいい俺』にやたらこだわってる人ー」
駿からしてみれば目からウロコだ。何だそれはという顔つきになっている。
「何ぞ…女子のみなさんの言う『かっこいい』が俺にはさっぱりわからんわい」
「四季くんのピアノだから聴いているよー、芽衣は」
「あ、そうそう。四季くんが弾くからだよ。だってピアノだけが聴きたいなら音楽クラスにもたくさんいるし」
四季はしばらく声を発せずにいた。やがて「ありがとう」と言葉にする。
そんなふうに思っていてもらえたのだ。


