「小野田先輩が言ってました。この一週間、先輩がずっとおかしい、上の空だって。せっかく距離を置いてるのにそれじゃ意味ないですよ…それに、自分でそうしたいって言っておいてそれってどうなのかなって…」


葵の言葉が頭の中に響く。


信じられなかった…

葵がこんな風に思っていたなんて…


「それじゃ、私戻ります。今まで…ありがとうございました」

「葵!!」


咄嗟に名前を呼んだけど、葵が止まる事も振り返る事もなかった。


俺はその葵の後ろ姿を見えなくなるまで見つめた。


…間違ってた。

あれは葵の本心なんかじゃない。

葵は俺の為に無理してああやって言ってくれたんだ。


俺がサッカーに集中出来るように…

俺が弱いばっかりに…