「ずーっとあんな感じ。葵ちゃんも元気なさそうだし」

「…えっと…」


若菜先輩は心配そうな顔をして私の目をジッと見つめてくる。


どうしよう…

今回の事はあまり誰かに話したくない。

私自身まだ完全に気持ちの整理がついたわけじゃないから。



「若菜!!ちょっと!」


声のする方を見ると、小野田先輩が校舎の二階の窓から若菜先輩を手招きしていた。


「ごめん!私行かなくちゃ。何かあったらいつでも聞くからね」


若菜先輩はそう言って私の右肩にポンっと手を乗せた後、昇降口に走って行った。

小野田先輩は「西原さん、おはよー!」と手を振り、私が振り返したのを見て窓を閉めた。