猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した



そこを見逃すほどルカは優しくもないし、お人好しでもない。落第点の代わりに放ったナイフは馬ごと敵を排除する。


残りは四頭にしても飛び道具なしのこちらに手も足も届かない奴らだ。このまま同じようにナイフで一網打尽にしようとも。


「っ……」


軽い舌打ちはルカから。敵とてバカではなく、三頭がいなくなったデメリットをメリットに変えた。


広くなった道でナイフの軌道線を決められないように右左と移動しながら進んでくる。誰ともぶつかることなく、あらかじめ予期していたことのように見えないポールを蛇行する動きはルカの投擲を惑わす。


ナイフの数が限られている以上、無駄な真似はしたくなどなかった。


後にルカができることと言えば、落ちぬようにとまた新たな支えとして足元にパラッシュを突き刺し、柱代わりとするのみ。