猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した



「結構いるんですよねー。盗賊とかだったら相手しますが、見るからーに『戦いのエキスパートですっ』な黒ずくめ集団なんで、とりあえず逃げてまーす」


後ろをちらりと見ただけだが、エレナの目から見ても手練れと思えた。


馬の数は七頭。一頭に一人。内二頭は二人乗りで、一人は手綱を持ち、一人はボウガンでこちらを狙う。


五頭の馬はボウガンの矢が通る垂直線上に入らず、またどの馬が倒れてもいいような距離も空けている。


左右が木々にはさまれた、狭い道だ。距離を空けていると言っても僅かなもの。

完璧な陣形は崩れず、それぞれがそれぞれの役目をはっきりさせている巧妙さ。


「暗殺者かなー、めんどーい」


一糸乱れぬチームワークに、顔を見せないことからそんな肩書きを持つ殺しのエキスパートとは判断できた。