髪の毛数本程度でも、エレナにとっては大きなミスと言いたげだった。
死角だろうがそこで反応できなければ三流だし、少しでも掠めれば一流とは行かない。髪が体の一部かは微妙だが、レインの一太刀を浴びたと言われれば事実上、それはイエスと肯定される。
現在のエレナの機嫌は見た目から朗らかだが、一人になった際はどんな顔をしていたのだろう。イラついた……はなく、より強い者がいると闘志が笑ったかもしれない。
強者とはそういうものだ。下を見るではなく上を見る。更なる高みを目指してこその成長だし、高みを見つけたならば踏み込みたい。
「むー、お三方相手ならエレナも本気でいかなきゃいけないからなー。殺しちゃったら国際問題だし、せっかく王様候補の守護者になれるから、変なことはできないかー」


