猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した



ただエレナはそれらも知らずにミカエルの強さを見抜いた。名前も知らない一人の軍人の真価を平然と語るのだ。


隠しナイフの本数まで当てるとは。隠しとある以上、通常は見抜けない武器であるはずなのに僅かな布のシワに違和感でも感じたか、エレナに至っても相手との強さを計れた時点で強者だ。


「因みにー、ルカ様も十本ぐらい持ってますよねー。ミーちゃんさんとペアルックですかー」


武器のペアルックなどロマンチックでもなんでもないが、ここで言われてはエレナに挑発されているようにも思えた。


見抜いているぞ、と。後手には回らないとタカを括るようでも、エレナ相手での切り札なしでは武が悪くも思える。


「私からは何もしない。ただ、そちらから何かするようならば容赦はしないぞ」