猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した



パラッシュを抜いたレインならともかく、ミカエルはパラッシュを所持すらもしていないし、二度の顔合わせでエレナがミカエルを戦える人と見抜いたのが意外でもあった。


「戦えるどころか、そーとー強いと思います。十本かな?腰や足やに隠しナイフ忍ばせてましたしー。身のこなしや姿勢に隙がないと言いますか、下手に手出しできないなーと思えたしー」


エレナの評価が上がる観察眼だった。


敵の意表をつくためではないが、ミカエルは確かに軍服の下に何本かのナイフを忍ばせている。いついかなる時も対処できるためにも、腕前も折り紙つきでレインに傷を負わせたほどだ。


更には、戦争で大きく貢献し、最前列で戦いながらも生き残った経緯もある。階級にして大尉。頭だけでは昇格できない尉官クラスはミカエルの腕前を評価してこそ。