猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した



「ミーちゃんさんって綺麗ですよねー。美男美女カップルなんていいなー」


私語が邪魔だと思える愛想皆無なルカは無視を決め込もうにもエレナは勝手に喋る。


ミーちゃんさん、ミカエルのことだとは分かるが、ずいぶんとすっとぼけた呼び名だ。――そういえば、護衛するルカの名前ならともかく、ミカエルの名前をエレナが知らないのを気づいた。


レインがミーちゃんと呼んでいたからこそ、話題出す上で呼び名が必要だとそれの結果がミーちゃんさんらしい。


マナーあってのさん付けでも、敬称重ねではふざけているようにしか思えない。


「でも、ミーちゃんさんって心配しすぎですよねー。エレナの強さ疑うなんて、ちょっと心外ですー」


「そんな振る舞いならば、ミカエルも強いかどうか見極められないだろう」