「あの、ルカ大佐のこと、よろしくお願いしますっ」
建前的な挨拶にしても、ミカエルの想いの体現つきでは、エレナの背にとても重要な荷物を背負わされた気分だった。
他国の人と任務を受けた時から重要な役目と知りつつも、ルカの地位だけでなく人となりまで亡くしてはならないモノと教えられたようだ。
「お任せくださーい。頼まれたなら頑張りますからー」
任せていいか分からない頼りがいが抜けた口調でも、先を物怖じしない気楽さが何事も乗りきれると暗示していた。
ミカエルはもう一度だけ頭を下げて、馬車から離れる。
ぶつかるものはないと、今度こそエレナは馬を走らせたのだった。


