車は走り続け、知らない町へと入った。辺りはすでに明るい。時間は午前10時。
変態は駐車場に車をとめると追手が来てない事を確認して車から降りる。
それに続いて俺達もおりると、ニヤリと怪しい笑みを浮かべたまま変態は財布を手渡してきた。
「...なンだよ。」
不思議そうに受け取れば、変態は「これで好きなものを買ってくるといいよ!」と言う。何を考えているのか全く理解できない俺は「はぁ?」と表情をしかめる。
「お仕置き少女メグミの最終回をむかえるために、必要なことなんだ。だからこれで好きなものを買ってくるといいよ。」
「意味わかんねー...。」
「これから逃走劇がはじまるんだろう?だったら準備が必要じゃないか!」
何故か嬉しそうな表情を浮かべている変態から視線を逸らし、啓太を見る。どうする?という意味をこめて少し首を傾けると啓太は「買い出しは必要だしいこーぜ!」と言う。
啓太に腕をひかれ、俺は曖昧に頷いた。
変態はすれ違い様に、俺にだけ聞こえる声音で言葉を発する。
「アリサをこの町に置いていくんだろう?これが最後になる。楽しんでくるといい。」
妙に台詞くさい口調だった。
俺は視線を変態に向けずに素直に頷けば変態は笑みを深める。

