「いってらっしゃい。」
女は俺に向かって手を振る。まるで、こうなることを予測していたような落ち着きぶりだった。
状況が良く理解できないまま車は施設を抜け出して猛スピードで走り出す。
「ッ、何がなんだかわからない。」
思わずそう呟けば、変態は「フフ。」と笑みをこぼす。
「あの人は僕の義姉さんだから、僕と繋がっていたって訳さ。」
「...は？」
「メグミを助けるために、連絡をとりあっていたのさ！」
つまり、全部、演技だったってことか？
「それに心配はいらないよ！僕がメグミを攫ったんだからね！義姉さんは何も悪くないから処罰されることはない。アリバイは用意したからね。」
自慢げに話す変態の言葉に耳を傾けながら、俺は苦笑いを浮かべている啓太に視線を向ける。
なんて言えばいいのかわからず、黙っていると啓太は俺を抱きしめた。
「おかえり、真咲。」
