警察署の前にとまっていたパトカーの助手席に俺を押し込むと、宇野博隆は運転席にすわり車のキーをあたりまえのようにとりだす。

いつのまにとってきたんだ、コイツ。

表情をひきつらせながら宇野博隆をみれば、俺の考えを読み取ったのか、「さっきだよ。」という。

「...。」

もう言葉がでなかった。いくら頼れる大人がいなかったからって、宇野博隆を頼ってよかったのだろうか。

猛スピードで車を走らせた宇野博隆をちらりとみれば、先ほどよりも口元をゆるませ、「メグミ、メグミ。」と呟いている。

き、きもすぎる。



「ま、真咲の居場所わかるのかよ。」


どもりながらも問う。

「勿論さ!メグミに関わった人間のことは24時間見ているからね!」

「ッ、なんだよ、それ。」

「超小型監視カメラ。僕ってエリートだからさ、作ってみたんだ。」

「!」

俺はバッと自分の体に手をあててカメラを探すが、何もついてない。

「わかるわけないよ、だって僕は天才だからね!」

「い、いますぐ外せよ!」

「うーん、もうすぐストーリーは終わるし、このままでもいいんじゃない?」

「は?」



「「メグミ」がおわるんだよ。」


この犯罪者と話してると疲れる。精神的に狂いすぎてるだろ。俺は話すのをやめて大人しく座りなおし、窓の外に視線をうつした。