「あの天辺には行けないのか?」

マリアが言う。


「私も鯱<しゃちほこ>を間近で見たい〜」

クーニャが言う。


「あっちの方からなら少し遠目だけど見れるぞ?」

幸大が言う。

「ちょっと見下ろす感じの場所もあるな。」

華乃が言う。

「違うよ〜!

あの天辺の大きなヤツ!!

見に行こ!!」

クーニャが言う。


「あのなぁ…こんな所で飛んだら目立つって。


諦めろ。」

幸大が言う。

「ふむ…内側からエレベーターなどで行ける限界の所まで行き、その物陰から飛べば目立たないだろうな。

あちら側からなら…

恐らく可能だろう。」

華乃が言う。



「いや…可能不可能の問題じゃなくてダメだから!」

幸大が言う。



「幸大…行くわよ!!」

姫野が引っ張る。


「お前ら…修学旅行だからって浮かれすぎだ!!」







結局



「はぁ…何やってるんだろうな、俺。」


幸大が金の鯱に座りながら言う。


「君の言う通り、君は金の鯱に何やってるんだろうな…」

華乃が言う。


「幸大君…座るのはどうかと…」

優衣が言う。


「バチ当たるわよ?」

朱鳥が言う。





「それにしても…良い眺めね。」

姫野が言う。


「あまりはしゃいでると気づかれるぞ?」

幸大が言う。


「ちょっとくらい気づかれても良いだろ。」


マリアがカメラのシャッターを押す。


「ふふふ…素晴らしい眺めですわ。


ここで日本は秀吉に支配され、統一されましたのね。」

アゲハが言う。


「日本の夜明けは近いぜよ〜!」

クーニャが言う。

「それは坂本龍馬じゃないかな?」

優衣が言う。

「絶景、絶景!」

幸大が言う。

「君は石川五右衛門か?」

華乃が言う。



「…でも、世界から見たら小さな国の日本を統一するのに何年も掛かったのに…


吸血鬼の王は一体どれだけの時間を掛けて世界を支配するのかしら。」

姫野が言う。



「…。

金色の支配、か。」

幸大が呟く。


「何だい、それは?」


華乃が言う。


「ああ、いや…

秀吉は金の鯱とか金の茶室とか、金色が好きだなって。」

幸大が言う。

「金色ってピカピカしてるもん、お金持ちみたいだし…

だから私も金色は好きだよ?」

クーニャが言う。



「私は金色よりも銀色の方が好きですわ。」

アゲハが言う。