何もないわけがない。
ビッグが10個あっても到底足りないニュースを拓斗さんに伝えたいのだから。
「だから、あの」
「あぁ」
「えーっと…、実はです、ね」
なかなか言わない私を不思議そうに見つめた拓斗さんは私の髪を軽く撫で、
「怒ってるのか?予定よりも帰宅が遅くなったから。すまない…。空港から直には帰れず一度会社に行ってきたんだ」
怒ってないよ、と頭をぶんぶん横に振る。
「違うのか、それなら土産か?それなら心配しなくても買ってきた。今ここで広げようか」
そう言って拓斗さんは足元に視線を向けた。
その視線を追うとあったのは拓斗さんが出張の時に必ず持っていく大きくて立派なキャリーバック。