――楽しい時間はあっという間に過ぎてく。
前菜からはじまった時間もこのデザートで終わりなんだと思っていると最後に紅茶が運ばれてきた。
お義母さんと楽しく会話をしながら堪能したそんなディナーフルコース。
「良い雰囲気だったわね」
1階まで降りていくエレベーターの中でふと、お義母さんから聞いた拓斗さんが子供の頃の事を思い出す。
何度も思うけど小さな時の拓斗さんは絶対に可愛いはず。
今は可愛いという言葉よりも格好いいという言葉がとてもお似合いだけれど…
それでも時々、拓斗さんが可愛いと思う時がある。
洗顔した後にタオルで拭く姿はおでこが見えて可愛いと思えるし、欠伸を噛み締めた瞬間なんてそれこそ格好いいから可愛いにかわる瞬間だったりして。