アイツは私の初彼氏 ~バレンタイン編~



「なぁ、これ今食ってもいいか?」

しがみつくような腕が離れた後、すごく嬉しそうな顔をした克幸が言った。

「好きにすれば……」

私はそんな克幸を照れくささから直視出来なくて目を背ける。

「そうする」

克幸は私の手を引くと、ベッドの縁に座った。

私も隣に腰掛ける。



克幸はチョコを一つ取り出すと、ゆっくり口に含んだ。

「ん……美味い」

「ふうん?それなら良かったな」

「一個やるよ」

言うが早いか、克幸は私の口にチョコを放り込んだ。

「んむっ!……ちょ、これ克幸にあげたのに」

「じゃあ別にいいだろ?どうしようとさ」

「そうだけど……」

まぁ、確かに美味いな。

さすが旭は買い慣れてるだけある。
ここのチョコがイチ押しだって言ってたもんな。

「―――も一個食うか?」

克幸の何気ない言葉に私は頷く。