項垂れながらもチラリと綾を見る
綾は俺の複雑な思いなんて知らないから、今も外を楽しそうに眺めている
その綾の口元にどーしても目が行ってしまう…
ふっくらしてて…
ルージュを塗ってない自然な色のピンク色…
キス…したい…
今までの俺なら、自分の欲望のまま女の唇を奪ってきた
でも、出来ない…
綾には…出来ない
「颯太?どーしたの?私の顔に何かついてる?」
綾が俺の視線に気付いて聞いてきた
真っ正面から綾の顔を見たら…
自然と言葉が出た…
「………好き…」
自分でも信じられないくらい自然に出た言葉
あぁ、そっか…
綾に対するこの気持ち
これが好きってことなんだ


