「なんじゃこりゃぁぁああああああああ!」


 鏡にべったり張り付き、白いフワフワドレスを人差し指と親指で摘み上げる。
真っ青な顔した椿は、先程まで寝ていた少女の顔ではなかった。


 「お、おお落ち着いてお母さん!結婚式だよ!花嫁様だよ!シンプ様だよ!」


 混乱しているので意味不明だが、それでも必死に椿を落ち着かせる結姫。

 
 「…ああ…結婚式…」

 結姫の言葉にピタリと動きを止めた椿は、いつもは下ろしている艶やかな黒髪が上に結われていることに気づいた。