「ノリくん急ごう!あと少しだよ!」


 謝ろうとして頭を下げたと同時に、麗と砂音の思考が停止した。


 椿は祝詞で祝詞は椿で。

 椿はお母さんで、お母さんは祝詞で。


 お母さんは今日花嫁様で、だからここにいることなどありえなくて。


 
 「…え…?ノリト?その花嫁ってノリト?お母さんじゃなくてノリト?」


 指差す麗の前に息を乱す祝詞が立つ。