「寝ないで~!」

 損な役割だった。絶対に起きなさそうな相手を起こす役は。

 時間が迫っている。

 打ち合わせもまだ終わっていない。

 扉の向こうには椿(お母さん)を待っている人の声がする。

 私(結姫)は何としてでもお母さんを起こさなくてはならない。

 だけど絶対椿(お母さん)は起きないだろう。

 だって、この日のために寝る間を削って準備していたせいで、今かなり熟睡しているのだから。