「ノリくん。ケッコンシキはじまっちゃうよ~!」

 半泣きの結姫(ゆうひ)に引っ張られる祝詞(のりと)が面倒くさそうに周囲を見渡した。


 「あ。あそこの雑貨屋入りたい」

 「その服(ウエディングドレス)で入るの?」

 「…やっぱ止めた」


 このやり取りをかれこれ三時間ほど続けている祝詞は、いい加減面倒くさくなってきた。


 もういいや。結婚式出ようかな…と思うも、あの静とのキスシーンを思い浮かべては思考をやっぱ逃げ切ろうに戻す。