「…お母さーん。起きてお母さ~ん。朝だよ~!結婚式だよ~!花嫁様だよ~!」


 着付け途中に寝落ちした花嫁の体を揺すり、緑の強い金髪をした少女、結姫(ゆうひ)は嘆いた。


 「着付けの人みんな帰っちゃったよ~!おかあさーーん」


 静に早くしてって急かして来て。と言われた手前、寝てました。起きません。とは報告できないと、結姫は新婦を揺する。


 「明神さん。明神 椿(みょうじん つばき)さーん!」

 扉の向こうでも花嫁、椿を急かす声が聞こえる。


 ウエディングドレスを着るだけが花嫁の仕事ではないのだと、三日前椿は言っていたのに。

 
 なのに。