「…だけど、勝手につかったら怒られるよ…」


 「大丈夫だって!お母さんとユウのためなんだし!」


 結姫はともかく、椿のためとあれば狼狽だけでなく静でさえ喜んで財布を差し出すだろうと考えた砂音は、視線の先で偶然見つけた花屋に直行する麗を止めなかった。


「すいませーん!」


 「「ツバキの花ください!!」」

 同じ顔の、しかもか髪と瞳の色が普通の人とは違う少年二人のダブルボイスに、店員は少しビビリながら花を渡してくれた。


 それを受け取り、他人の、しかもか狼狽の財布だから惜しむことなく札を抜き取り会計を済ませた麗と砂音は、さぁ、いざ行かんと歩き出した足を止めた。