「だけど、何がいいかな?」

 公園の前で立ち止まった砂音の視線が、花壇に植えてあったパンジーに向けられた。


 「そんなどこにでもある花じゃダメだ!もっと綺麗なやつじゃないと!」


 「買うってこと?だけど僕達お金もってな」


 ポケットを漁り財布を取り出した麗を見て、砂音の血の気が引いた。

 
 「その財布…エルおじさんの…」


 「ふくざわさんがいっぱいいるぜ!!エルって見かけによらず金持ちだったんだな!」


 別の場所で狼狽がくしゃみをしたことは、言わずとも予想できるので省いておく。