「ユウ…」
「結姫ちゃ…」
「ゆうひ。泣かないで。俺が悪かったから」
麗よりも砂音よりも早く、静が結姫を抱きしめ、涙を拭った。
「泣かないで。椿ちゃんが悲しむから。だから、泣いちゃだめだ」
静とて三人と同じ気持ちで居た。
今日は大事な日。
一生に一度の晴れ舞台。
だから、せめて椿には笑顔で居て欲しい。
それだけが願いで、そのためなら何でもする。
だから、その為には椿の大事な麗と砂音と結姫には笑っていてもらわないといけない。
皆、みんな椿が大好きで大事で、ただ泣かせたくない。
今日を笑顔で過ごしてもらうために、少し空回りしてしまっただけ。



